高配当株を持ち始めて最初の3月、権利付最終日を過ぎたあとに、持っている株の値段が下がっているのを見ました。この下がり方の正体が「権利落ち」です。この記事では、株価が下がるのは「いつ」で「なぜ」なのかを、日本取引所グループ(JPX)などの公式情報をもとに整理します。
この記事について
- 2026年3月に書いた同じテーマの記事を、日付の仕組みの誤りを直して書き直しました(確認日:2026年10月13日)
- 以前の記事では「権利確定日の翌日に株価が下がる」と書いていましたが、正しくは「権利付最終日の翌営業日(=権利落ち日)」です。お詫びして訂正します
- J-REITを「毎月配当」と書いていた点も、「決算は年2回が中心」に直しています
先に結論:株価が下がりやすいのは「権利落ち日」
3つの日付の関係
- 権利確定日:配当や株主優待を受け取る株主が確定する日(基準日)
- 権利付最終日:権利確定日の2営業日前。この日の取引終了時点で株を持っていれば、権利がもらえる
- 権利落ち日:権利付最終日の翌営業日(=権利確定日の1営業日前)。この日から買っても、その回の権利はもらえない
株価が理論上下がるのは、権利確定日の翌日ではなく、権利落ち日です。
なぜ「2営業日前」なのか
株を買っても、その瞬間に株主名簿に載るわけではありません。JPXの説明では、通常の株の売買は約定した日から数えて3日目(休業日を除く)に決済されます。権利確定日に株主として名簿に載るには、その日までに決済が終わっている必要があるので、権利確定日の2営業日前までに買う必要があります。
例:2026年3月の場合(権利確定日が3月31日のとき)
- 3月31日(火):権利確定日
- 3月30日(月):権利落ち日(この日に買っても権利はもらえない)
- 3月27日(金):権利付最終日(この日に買えば権利がもらえる)
土日をはさむので、カレンダー上は4日前になります。正確な日付は、JPXの「配当落・権利落等情報」や証券会社の権利確定日カレンダーで確認できます。

権利落ちで株価が下がる理由
権利付最終日まで株を持っていた人は、配当を受け取る権利を手に入れます。権利落ち日以降に買う人は、その回の配当をもらえません。そのため、権利落ち日の株価は、配当などの権利の分だけ下がると考えられています。JPXの用語集でも、権利落ち日の株価は権利の相当額分下落することになる、という趣旨で説明されています。
計算例(理論上の話)
- 権利付最終日の株価:1,000円
- 1株あたりの配当:50円
- 理論上の権利落ち後の株価:1,000円 − 50円 = 950円
実際の株価は、市場全体の動きや売り買いのバランスで決まるので、ちょうど50円下がるとは限りません。下げが小さいこともあれば、もっと大きく下がることもあります。
権利落ちは「損」なのか
理論上は、株価が50円下がる代わりに、50円の配当を受け取る権利が手元に残ります。株価950円+配当50円=1,000円で、合計は変わりません。「株の価値の一部が、配当という形に移っただけ」と考えることができます。
ただし、税金の分は差が出る
- 特定口座や一般口座で受け取る配当には、20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかる
- 上の例だと、配当50円のうち約10.2円が税金で、手取りは約39.8円
- つまり課税口座では、「株価の下落50円」と「手取りの配当約39.8円」の差の分だけ、合計は少し減る
NISA口座で配当を非課税で受け取るには、証券会社で配当の受け取り方を「株式数比例配分方式」にしておく必要があります。私の個別株はすべて特定口座で持っているので、配当には税金がかかっています。
権利落ちのあとの株価は、銘柄によって違う
権利落ちのあと、株価がどう動くかは決まっていません。すぐに戻る銘柄もあれば、そのまま下がり続ける銘柄もあります。私が初めて買った高配当株2銘柄の半年間の成績は「高配当株2つ、半年後の答え合わせ」にまとめています。
「権利落ちで下がったから買い時」とは限らない
- 権利落ちによる下落は、配当の分が株価から抜けただけで、割安になったわけではない
- 業績が悪くなっている会社は、権利落ちのあとも株価が下がり続けることがある
- 配当性向(利益のうち配当に回す割合)が100%を超えている会社は、利益以上の配当を出しているので、減配のリスクを確認したい
「下がったところで買い増す」判断のむずかしさは、私自身のナンピン買いの失敗記録「ナンピン買いの翌日に半分売った話」でも書いています。
「配当だけもらってすぐ売る」は得なのか
権利付最終日に買って、権利落ち日に売る「配当取り」を考える人もいます。ただ、理論上は株価が配当分だけ下がるので、配当をもらっても株価の下落で相殺されやすいうえ、課税口座では配当に税金もかかります。株主優待の価値が大きい銘柄では権利付最終日に向けて買いが集まることもあり、その分、権利落ち日に大きく下がることもあります。
権利確定日が集まる時期
日本の会社は3月決算が多いので、権利確定日は3月末に集中しやすく、次いで中間配当がある9月末にも多くなります。6月末・12月末に権利確定日がある会社もあります。
J-REIT(不動産投資信託)の場合
以前の記事では「J-REITは毎月配当」と書いていましたが、これは誤りでした。投資信託協会の説明では、J-REITを運営する投資法人のほとんどは年2回の決算を行っていて、分配金も決算ごとに年2回が基本です(年1回の銘柄もあります)。決算月は銘柄ごとに違います。
権利落ちを見たときの考え方
権利付最終日のあとに株価が下がったときは、まず「配当の分が株価から抜けた」と考えるのが基本です。そのうえで、下がった理由が権利落ちだけなのか、業績や市場全体の動きなど別の理由もあるのかを分けて見ることが大事だと考えています。
3月の権利確定日については「【3月権利確定日】配当金への期待と現実」でも書いています。
📝 まとめ
- 権利付最終日は権利確定日の2営業日前。この日の終わりに持っていれば権利がもらえる
- 株価が理論上下がるのは、その翌営業日の「権利落ち日」(権利確定日の翌日ではない)
- 理論上は「株価の下落+配当」で合計は変わらないが、課税口座では配当に20.315%の税金がかかる
- 権利落ちで下がった株が割安になったとは限らない。業績や配当性向を確認したい
- J-REITは毎月配当ではなく、年2回の決算・分配が中心
⚠️ 免責事項・投資に関するご注意
本記事は筆者個人の経験と、2026年10月13日時点で確認した公的機関・業界団体の情報をもとに、仕組みを説明したものです。特定の銘柄や金融商品への投資を勧めるものではありません。権利確定日などの日付は銘柄ごとに異なるため、必ず証券会社や発行会社の情報でご確認ください。税金の扱いは口座の種類や受け取り方法によって異なります。投資には元本割れを含む損失のリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。

